非行少年に対してのカウンセリングでは、心を育んでいく必要も出てくるため、慎重に行われていることがうかがえます。
自立させていく教育の中では、次のようなことも行われています。
非行少年の対応においては、少年の行動規制を課す役割と、少年の自由意志を尊重するという二つの役割が求められ(ダブルロール)、非行臨床に携わる者はその相克にしばしば困惑させられるというものである[井上1980:147-148]。著者は、これに関して「行動規制を課すがゆえに、だからこそ、肝心なことは自分で決定させるという自己決定の原則を貫くことでバランスが保たれる」と考える。自己決定なくして責任感は生まれないと考えるのだ。
『新版 Q&A 少年非行を知るための基礎知識――親・教師・公認心理師のためのガイドブック』(著者)村尾 泰弘 p.173
この内容から察すると、幼少期から自分で選択して、決定をしてこなかったようにも思えます。
自身の人生を充実させるなら、間違った選択をしたとしても、自分の意思で決定し、その道を歩むことだとされているので、幼少期から、親に選択の余地を与えてくれてなかったのかもしれません。
自分の人生を生きているという実感が、幼少期から味わっていることで、少しずつ自立の準備ができるのではないかとも思いました。