前回(再犯を繰り返す人は罪の意識が深まらない性質がある)では、加害者も被害者だったことから、罪を犯しても罪の意識が深まらないという話をしましたが、受刑者の実際の話があったので、ご紹介します。
被害者本人や被害者遺族は、身体的に傷害を受けるだけでなく、精神的な疾患を発症したり、職を失ったり、経済的にも苦しい状況に追い込まれたりする。このような被害者の例を受刑者たちに話すのだ。しかし、受刑者にこのような話をしても、心に響いていないことがある。それはなぜか。
それは、受刑者自身もじつは被害者であることが多いからだ。
(中略)
「そりゃあ、被害者はかわいそうだろう。でも、自分はもっとひどい目にあってきたんだ。だから、被害者のことなんか知ったことじゃない」。こういう気持ちになってしまうのだ。被害者体験が、残念なことに被害者の理解や更生のじゃまをしているのだ。
筆者は非行少年から生活実態や生い立ちを聞き、しっかり共感的な理解を試み、非行行動の根底にある被害者意識を理解することが重要だと考えている。
『新版 Q&A 少年非行を知るための基礎知識――親・教師・公認心理師のためのガイドブック』(著者)村尾 泰弘 p.27
誰も苦しまない、平和な社会にするためには、犯罪のない世界が望ましいと思っています。
更生という言葉の表現は、ここで適切なのか、少し違和感があります。人それぞれ持っている個性があり、環境によって構成されていくので、それが本人の人生ですし、生きてきたことを更生するのではなく、罪を犯してしまう気持ちに寄り添うということが適切ではないかと、個人的には思います。
人によって価値観が変われば、正しいことは変わります。本人が苦しまないように生きやすく生きていく知恵を身につけてもらうことが、この更生ではないかと思います(更生という言葉を使用すると一方的で、押し付けているような感覚になるので違和感がありました)。
幼い頃から、社会に出ると、自分とは違う能力、所得の違いなどがありますが、そこから劣等感や、嫉妬、差別行為もあるのは事実だと思います。幼い頃から、人それぞれのQOLを追求することが、いちばんの近道になるのではないかと思っています。