行列のできているお店が、どれだけ美味しい食事ができるのか分からないし、期待外れかもしれないけど、こんなに行列になっているなら、並ばない方が損するのではないかと思って、その行列に並んだことはありませんでしょうか。
元々、人間には他の人と合わせる同調性というものが、備わっているからなのだそうです。人は誰でも損をしたくないという気持ちがあるので、このリスクを軽減するためであると言われています。
■一度きりの人生で正しい判断をしたいのが人間
1つは、人は正しい判断をしたいものだから、判断する上で他者からの情報は有用だと考える情報的影響。もう1つは、他者から好かれたい、もしくは嫌われたくないという気持ちゆえに、集団規範から逸脱しないようにする規範的影響だ。
『カラー版徹底図鑑 社会心理学』新星出版社(p.130)
人の同調性が備わっている理由、その同調性が発動される場合は、正しい判断をするために人の意見に合わせていることが有用であるということと、今、社会で生きていくために、現在の仲間から逸脱されたくないという気持ちから、グループのリーダーが言っていることに合わせるという働きからというのは、言われてみると、納得します。
■流行の服を取り入れるのも同調性
流行も情報的影響や規範的影響によるものと考えている。たとえば、買い物の際にエコロジーの観点からマイバックを持つ人が増えるのは、情報的影響にファッションを取り入れないと周囲から嫌われてしまうという規範的影響を多くの人が受けた結果、広がっていく流行もある。
『カラー版徹底図鑑 社会心理学』新星出版社(p.130)
毎年、海外のファッション業界が流行を決めて、それに沿って服が作られるという流れの中、その流行の服を着ないことは、グループから逸脱することになるという考えが働いているからというのは、ファッションに疎い私は、分かっていませんでした。
流行というのは、規範的影響を多く受けた結果で広がっていく場合があるというのも、面白い流れではないかと思います。
エコバックを持っているのはダサい!と思っていた人も、今では、追加料金がかかってしまうこともあり、エコバックが当たり前の時代になったとは思います。
■同調性には内面的、外面的の2つがある
内面的同調は、相手の意見を信頼できる正しいものだと受けとめた時に起こりやすい。また、集団による圧力を感じた時には、外面的同調が起こりやすい。
『カラー版徹底図鑑 社会心理学』新星出版社(p.130)
アッシュの同調行動の実験では、多数派の意見が間違っていても多くの参加者が多数派に同意することを証明した。ミルグラムが行ったアイヒマン実験では、権威者から命令されると、自分の信念から外されたことでも従う傾向が見られた。
これは権力者の命令を多数派が支持する場合、外面的同調の心理が働き、ナチスによるユダヤ人大量虐殺のように権威に服従し、意に反した行動をとりかねないことを示しているといえるだろう。
『カラー版徹底図鑑 社会心理学』新星出版社(p.130)
エコバッグの場合は、初めのうちは、環境のためを思う方が、自主的に取り入れているのを知り、それをマネすることは内面的で、現在の追加料金をもらうことになったことや、環境問題をメディアで流すこと、スーパーでもエコバックを推奨していることで、エコバックではないことに罪悪感を感じて使用するようになるのは外面的同調になるのではないかと考えられます。
自分の意に反していることでも、目の前の困難を生きていくために同調しなければならないというのは、現代社会の職場でも見られることではないかと思います。それが、長いこと続いてしまうと、おそらく鬱になるか、自分を失ってしまうことになるのではないかと、個人的には思います。ですが、生きるためなので、仕方ないと言い聞かせて、これからも生きていくことになるのだと考えられます。
■まとめてみると
仲間外れになりたくない、損をしたくないという本能的な心理から、自身が納得いかないことでも、社会の流れで、生きていくために、同調せざるを得ないことが起こるかもしれません(脳にチップを埋め込むとか、コロナの影響世の中がガラッと変わってしまうとか)。その中でも自分らしく生きる術を考えなければ、自分を見失ってしまい、誰のための人生なのか、我に返った時に、我を忘れるくらいお酒を飲まないとやっていられないという最悪の結果になるのかもしれないと思ってしまいました。
罪を犯してしまう人は、この同調しなければならない時に、同調することができなかった、自分の意に反することだった、同調したくても同調することができなかったという考えもできます。形の上では同調をしているが、本心は違って、葛藤しているという場合にも、そのストレス、反動によって、犯罪行為になるのではないかと思いました。