「クオリティ・オブ・ライフ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
“ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である(ウィキペディアより)。”という意味になります。
老後は絶望期のステージと言われている中で、この「クオリティ・オブ・ライフ」の観点で、どんな風に自分の人生の質を高めていくのかについて、あるイギリス人が教えてくれています。
イギリスの田舎の古き良き産業を、自らが作り手の一員となって現代に蘇らせ、ビジネスとして軌道に乗せる。一方で、昔ながらの風景と街並みと現代に残そうとする。2匹の愛犬と喜々としてヨークシャーの農場へ続く道を闊歩する彼女は、大自然の中で解き放たれ、輝いていました。その様子は「一番忙しい人間が、一番たくさんの時間を持つ」という、心理学者アレクサンドロ・ビネの名言を彷彿させます。
たくさんの時間とは、たくさんの生き方。
一つのことを極めたものに生まれる、違う物事への関心。
それを見逃さず、つかみ取ることは、老後を豊かに耕すクオリティ・オブ・ライフ向上の第一歩なのです。
ひとつのことを極めた方は、モノに対する見方に、その方の人生が映し出されていると個人的には思っています。経験からの予測をする力であったり、発想であったり、この話では、都会で忙しく働いていた方が、仕事で出会ったモノについて、深めていきたいという気持ちになり、老後になってもなお、忙しく過ごしている方になります。
この、違う物事へ感心が生まれたのも、一つのことを極めたからであると思います。このチャンスが生まれるのは、チャンスをチャンスだと思うためには、これも、一つのことを極めたからだと思います。
やりたいことが見つからない方や、特に趣味がないという方でも、まずは、学業、仕事を極めることで見えて来るものがあるのではないかと思います。それが結果的に、生涯の人生の質を高めてくれるということかもしれません。
「一番忙しい人間が、一番たくさんの時間を持つ」ということについては、賛否両論あるかと思います。そう思う方もいるかもしれませんし、反対の方もいると思います。人それぞれ流れている時間の感覚は違うと思います。ゆっくり過ごすのも、その人にとって重要な時間であると思うならば、この「たくさんの時間を持つ」に含めていいのではないかと思います。
要するに、今、充実した時間を、意識して過ごしているかどうかは、ご自身にしか分からないことではないかと思います。
<参考文献>
『なぜイギリス人は貯金500万円で幸せにくらせるのか? イギリス式 中流老後のつくり方』(p.72)(著者:井形慶子)
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