日本では老後は、子どもの方から1人だと心配だから「同居しようか」となる流れが一般的ではないかと思います、二世帯住宅という形で家を建てるというのは、少し前のスタンダードだったと思います。今では、自分のことで精一杯という状態も多く、別々で過ごして、見守りの方法であったり、それが出来ずに、孤独死をしてしまうことも多いとニュースで聞いたこともあります(実際はどのくらいの割合なのかは分からないです)。
前回と同様に、イギリスでは、この辺りはどうなのか、老後の家族の関係について、イギリス人の家族の在り方について分かる内容がありましたのでご紹介します。
「ロンドンに一人で暮らす夫の母親は100歳。最近、認知症が出てきたけれど、今もピアノを弾いてくれる。できる限り自分の家で生活させてあげたい。いよいよとなったら我が家に来ればいいと思う。あくまで本人が望めばだけど」
決めるのは家族ではなく、母親自身。高齢者といえど、自立した大人だから、同居しようと強要したくないし、私だって子どもたちに指図されたくないとカレン。
週末は子どもたち4人がかわりばんこにボーリンを訪ね、夕食をともにします。
ボーリンに限らず、イギリスの高齢者は子どもや病院に依存することなく、最後まで自分のペースで生きようとします。老いても、自分のスタイルを手放さないことを誇りとしているからです。だからこそ、家族も最後まで対等な人間として向き合うのでしょう。
イギリスでは、できる限り自分の家で生活させてあげたいというのがスタンダードということが見て取れます(100歳なのにその考えということは、そういうことなのだと思います)。また、それを決めるのは、親自身であるというのは、当たり前のようで、当たり前ではないと思っています。子どもたちに指図されたくないというのは、日本も一緒ではないかとは思います。
100歳ということもあってなのか、週末に変わりばんこで夕飯を共にするという、心配をしながらも、親の意志を尊重するという姿勢が、イギリスでの距離感なのかもしれないと感じました。
自分のペースで生き、それが100歳であっても、変わらないというのが、イギリスの国民性であるということが分かります。
この他に、親と同居をしないということには、イギリスとしての考えがあるようです。
彼女が今も親の役割として信じていることがあります。それは親というのは、子どもたちが独立し、一生懸命働く、そのことを楽しみに子を育てるということです。むしろ離れているほうが、訪ねたり、迎える楽しみが生まれます。
会いに行ったり、一緒に旅行したりという家族の幸せな計画は、バランス良く、途切れないようカレンダーにちりばめることが大切だそうです。
親がみんな、同じ考えではないのですが、自立して、自分のペースで生きていることを誇りにしている国民性であることから、子どもも同じように、自分のペースで自立して生活をするのが親としては更に誇らしいと思うのは想像できます。
イギリスでは、別々で暮らして、定期的に会いにいく予定を組むというのが、家族の在り方なのかもしれません。日本でも、尊重し合いながら、距離を保って、家族の絆を繋ぐ姿勢や、方法は参考に出来たらいいなと思いました(イギリス人の全ての方が、このように出来ているワケではないと思いますが、ひとつの参考として載せさせていただきます)。
<参考文献>
『なぜイギリス人は貯金500万円で幸せにくらせるのか? イギリス式 中流老後のつくり方』(p.20、138)(著者:井形慶子)
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