「犯罪心理学研究 第39巻 特別号(2001)」の10ページにある「非行少年の共感性に関する研究(Ⅳ)」出口保行(高知少年鑑別所)、大川力(帝京大学)には、「共感性の乏しさ」が非行に関係しているのかどうかを紹介してくれています。
Deguchi Y.(1993)は、成人犯罪者の共感性を測定し、凶悪犯罪者群の共感性が、一般群や非暴力犯罪者群より高いという結果を得て、共感性の高低が犯罪の機序と直接的な関係にないことを示している。
出口・大川(1998)では、
(1)男子より女子の方が共感性が高い
(2)男子の共感性が高い人は、精神症傾向・意志欠如傾向・自己顕示(じこけんじ:自分の存在を必要以上に他人に目立つようにすること。コトバンクより)傾向が高く、女子では男子の特性に加えて、発揚(はつよう:精神や気分が高まること。コトバンクより)傾向が高い
(3)男子では薬物・凶暴・粗暴非行者の共感性が高く、女子では風俗犯以外の共感性が高い、
(4)男女とも家庭内の交流がある場合、共感性が高い
等を指摘した。
出口・大川(1999)では、
(1)財産犯では低年齢から非行に走る者は共感性が低いが、高年齢では共感性が高くとも非行に走る場合がある
(2)粗暴犯では、中間群(16/17歳)の共感性が高く、過剰共感の問題点がある
(3)共感性と規範意識は相関関係にある
等を指摘した。
出口・大川(2000)では、
(1)男子では粗暴・薬物・交通犯、女子では性犯・薬物犯で共感性が高い方が非行に走りやすい
(2)共感性が高いと規範意識も高い
等を指摘した。
こちらは、過去の内容になります。まだまだ続くのですが、この時点でも分かりますが、年齢が低いと、共感性が低いと非行に走り、年齢が高くなるにつれて、共感性が高いほうが非行に走るというのが分かります。
対象年齢が20歳以下となり、20歳よりも歳上の場合に、これが全て当てはまるかどうかは分かりませんが、青少年時代では、共感性があるない(年齢も含め)で、非行の種類が違うということは分かります。
この内容はまだまだ続きます。
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