『売らずに売る技術』では、ラグジュアリーグランドでの販売戦略が、いくつも紹介しています。その中で気になった内容があったので、ご紹介します。
“ラグジュアリーブランドにとって一番の危機は、商品が機能面やお得感だけで比較されてしまうことです。歴史やクラフトマンシップといった物語こそが、エルメスやルイ・ヴィトンといったブランドをラグジュアリーたらしめているのです。世の中に革のバッグはたくさんあります。しかし商品の背景にある物語の違いよって機能を超えた価値が生まれ、それがエルメスになったり、ルイ・ヴィトンになったりしているわけです。だから個客にしっかりとブランドの物語を伝えることは、ラグジュアリーブランドの生命線といえるのです。p.113”
ブランドなんて関係なく、欲しいアイテムがあって、コスパの良さをネットの口コミで検索して、実物を店舗で見て、値段を比較して、ネットが安かったら、ネットでの購入をするという方は多くいらっしゃるのではないかと思います。
機能面でも、お値段的にも全てがパーフェクトという商品は、なかなか有りませんが、それを見つける楽しみというのを、主婦層の方々は持っていると思います。
そんな、節約家、倹約家の方々に、ブランドの良さを知ってもらうために、通販で口の美味い方に売ってもらったりという方法もありますが、ブランドは、ブランドの良さというモノを、ブランド側が発信しなければなりません。
それをデザインするのは、ブランド側であり、どうやってアプローチし、どんな言葉を使うのかも、ブランド側になります。どんな風にしたら、買い手側にこの気持ちが通じるのかを、模索しながら、世界観を動画にしたり、音楽にしたり、店舗の内装から世界観を演出したり、本で表現をしたり、これまでの経緯などを伝えることによって、ブランドへの見え方を変えてもらったりと、さまざまな方法があります。
どんな方法を選ぶのかも、ブランドらしさが出ます。ターゲット層はどこになるのかも、考えなければなりません。
ブランド側としては、比較対象にならないほどの物語を、買い手に分かってもらう必要があるということになります。こういったコンサルタントが、儲かりそうな気もしてきました。美術系の方の活躍の場としても、どんなアピールがいいのかと、毎年、アーティストを変えて、新しいブランドの魅力を引き出してもらうというのも、ブランド側としては、ブランドの良さについて、再発見することもできると、個人的には思います。
有名なアーティストだけではなく、若手のアーティストにもチャンスを与えるという、貢献の一貫としても、よい運動ではないかと、思いました。
<参考書籍>
『売らずに売る技術 高級ブランドに学ぶ 安売りせずに売る秘密』
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