『「光の家具」照明 』の著者である、坂川さんは、欧米で使用されているシェイドランプに出会い、感激されています。それからというもの、坂川さんの照明のふつうは、シェイドランプになったほどです。欧米では、このシェイドランプがスタンダードである一方、日本は?ということについて、以下のように述べています。
売り場にあるのはデザイン優先のものばかり。その光景はメーカーが先鋭的な品揃えで、ショールームの見栄えだけを意識して作ったのではないかと思うほどである。日立っているのは、白い光やハロゲンの強い光を放つものが多い。種類や数が多いのは、吊り下げ型のペンダントライトである。柔らかい光を放つ置き型タイプは少なく、もちろんシャイド・ランプなどは数えるほどしか置いてない。それも置いて売れないのか、売れないからいいものがないのか、趣味の悪いものしかない。シンプルでオーソドックスなタイプがなかなかないのだ。p.12
この本を読んで、シェイドランプを買わなければならない理由はないのですが、日本のベーシックな照明といったら、個人的には、上から吊すタイプの照明で、木材で四角い形に形成され、木材の間にガラスが挟まれ、そのガラスに日本らしい植物の模様が描かれているのを頻繁に拝見します。
または、シーリングライトでしょうか。そんな感じです。あとは、豆電球でしょうか。これは昭和かもしれません。貧しいイメージがあるかもしれませんが、オレンジ色の暖かい色で部屋が照らされるのは、家族団らんの象徴ではないかとも思います。
著者は、つづいて次のように述べます。
私はそんな照明売り場を眺め渡して、明かりへの意識がまだ低い消費者に対して、どうしてこんなに斬新なデザインの商品ばかりを売るのだろう、と思った。こういうものを消費者が本当に求めてているのか、メーカーがただ売ろうとしているだけなのか、わからなくなったのだ。こんなカッコイイ、カキーンとした照明に合った部屋が、一体どこにあるっていうのだろう。p.13
個人的には、このカッコイイ、カキーンとした照明を購入して、配置して見て、その照明から部屋をデザインしていってもいいじゃないか?とも思います。
日本人にとっては、シェイド・ランプだって、斬新なデザインとされるかもしれません。この感覚は、人それぞれなので、文句を言われる筋合いもないと個人的には思います。
私は、著者に文句を言いたいからこの記事を書いているわけではありません。
個人的にも、カントリーや、ヴィンテージな家具、雰囲気は好きなので、賛成な方なのですが、人に強要してはいけないと思います。どれだけ、良さをアピールできるのかが、重要ではないかと思います。
この照明に興味があるのは、部屋の印象を変えるのに、手っ取り早い方法として、照明を変えるというのが持論としてあります。
日本がこのシェイド・ランプが普及しない理由を考えると、場所が限られているのと、天井も高くない、だからシーリングライトが普及しているのではないかと考えられます。
今では、シーリングライトのリモコンを使えば、ライトの色を選ぶことができるので、シーンに合わせて、使い分けることができます。
もし、シェイド・ランプを普及させるには、日本の部屋で使用しても邪魔にならないスリムタイプであったり、まずはベージュなど、質感、刺繍、装飾などで選択ができるようなラインナップにするなど、主張の少ないものなどからではないかとも思います。
置いてみないと分からないから、試しに1週間置いてみませんかというのもいいのではないかと思います。いろいろな照明を借りて、気に入ったらその商品を買うなど、工夫が必要であると思います。
シェイド・ランプの方がいいという点を挙げていくしかありません。あげられる機会があれば、あげていきたいと思います。
<参考書籍>
『「光の家具」照明 』坂川栄治
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