「選択肢は7つが限界」で紹介させてもらった、人間の処理能力の限界が、7つであるということが明らかになりましたが、この知識を利用して、ビジネスにも役立てることができます。
『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)』(226ページ〜)の著者であるシーナ・アイエンガー氏は、ジャムの実験をしたことで、ビジネス効果にも期待できるということを発見されています。
ジャムの実験とは、スーパーの試食コーナーで、24種類のジャムを試食することができるというコーナーを設け、その後に、6種類の内容に絞ったジャムの試食コーナーを設けるということをした。この試食には、売り上げの多い定番のジャムは外している。実験の意味がないからだ。
試食コーナーに立ち寄ったお客様に対して、一週間有効の1ドル割引クーポンを渡しており、バーコードから購入客がどちらを試食したかが分かるように小細工をしておき、ジャムを購入したほとんどの人がこのクーポンを利用しているということだった。
売り上げを算出すると、6種類の試食に立ち寄った客のうち、ジャムを購入したのは30%だったことに対して、24種類の試食では、3%にしかならなかったのだそうだ。
ここで、ちょっと面白い結果が出ている、24種類のジャムを試食できるということもあってか、イベントのような楽しい気分にでもなるのか、買い物客の60%が試食に立ち寄ったのだそうだ、6種類の方は、40%という結果になった。
お客は、豊富な品揃えに対して、圧倒され、娯楽のように楽しんでは、商品を買わずにいるということになる。購入するモノが決まっている人にとっては、こんなことは関係ないのかもしれないが、それなら、ネット販売の方が儲かりそうだ。
店頭での販売については、娯楽として見せる場所で客を引き寄せ、本気で売りたいと思っている場所で、7つ以内に品揃えを制限するなどにして、使い分けると、売り上げが上がるのかもしれない。