写真:乃木坂
アドラー氏は、人間の特質について、こう考えている。
人は注目されないと、
悪さをしてでも注目を集めようとする。
それに失敗すると、
今度は自分の無能さを見せつけるようになる。
人は、生まれてから、親にかまってくれないと感じた子どもは、気を惹かせるために、あらゆる努力をします。その方法が道理に反していてもです。
注目を集めるために、寝るまで側にいて欲しい、ということを要求したりするのだそうです。
注目を集めることができなかったら、次に、力を使ってきます。
力とは、かんしゃくを起こしたり、食事を拒むことなどです。
この、かんしゃくを起こしている場合には、満たされない気持ちという理由があって、起こしているので、この状態に対して、大人も同様に、力で対抗してしまうことで、子どもはヒドく傷つけられてしまいます。
こうして、心を傷つけられた子どもは、問題行動を起こし(親が嫌がることをあえて行う行動)、親に対して、不快感を与え、復讐を試みます。
そこで、親の反応や、自分自身で起こしている行動について、諦めの時期がやってくるそうです。そうなった子どもは、自分は、「無能である」「欠陥である」ということを、開き直ったように親に見せつけてきて、自身の課題について、逃げるという道を選ぶようになるそうです。
この順番を知ると、早めのうちに、子どもの要求について、話し合っておくべきであると、誰でも感じていただけるのではないでしょうか。
例として、子どもを取り上げましたが、大人になっても、気持ちが満たされなかったら、この段階を経て、グレていきます。
大人になっても、他人に注目してくれないことで、気持ちが満たされず、他人が見てくれていないと、自分の存在が不安になってしまうからではないかと、考えられます。
この注目を集める他に、別の形が存在します。
世話好きな人は、単に優しい人なのではない。
相手を自分に依存させ、
自分が重要な人物であることを実感したいのだ。
こんな風に言われてしまうと、語弊がありますが、注目して欲しいのは、「世話好き」という部分です。
長女、長男、親、は、世話をしなければなりませんが、世話が行き過ぎる、または、余計なことまでしてしまう、積極的に世話をするということではないでしょうか。
必要以上に世話をするということで、実は、世話をしている自身が、ここが居場所である、という安心感を得ているのです。
世話をしている彼らのためではなく、自分のためということです。
自分の居場所がなければ、人は、気持ちの安息を得ることが出来ずに、非行に走ってしまうのです。
どうして非行に走るのかというと、アドラー氏の考えである、「人に注目して欲しい」からなのです。
人間が、1人では生きていけないというのは、こういったことにも、関係していることが分かります。
註:『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』小倉 広 ダイヤモンド社 2017-08-31