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老後不安をイギリス人の老後生活事情に学ぶ

超少子高齢化の日本では、今の若者が老後を迎える時には、年金が支給されない心配があるので、資産運用を今からしないといけないとか、低賃金で働いているワーキングプアの方が多い現代社会で、老後は不安でしかありません。

こんなストレスを抱えていると、今、目の前のことすら楽しく過ごせない現代社会ですが、こんなに大変な国は、日本だけなのか?世界の老後事情はどうなっているのか?調べている中で、イギリスについての老後について知ることができました。

 

イギリスの老後を知るには、まずは、イギリスのお国柄を知る必要があったので、EU離脱のことから触れたいと思います。

折りも、2016年6月23日に実施された国民投票によってイギリスはEUを離脱することになりました。離脱を選択した大多数の人々は紛れもなく高齢者、もしくは老後を迎えるシニア層だということは興味深いことです。学生時代、「あなたはイギリス人でヨーロッパ人ではない」と教わったシニア層は、ヒットラー率いるドイツに勝ったと戦勝の栄華を胸に、離脱すれば昔のようにイギリスは他国から支配されない立派な国になると信じているのです。関税撤廃を手放し自分の国の経済がガタガタになっても、富裕層の外国人が脱出しても、より安全で落ち着いた古き良き時代のイギリスをとりもどしたい。つまり、イギリスにはイギリスの生き方、物事の処し方があるというのです。

もう終わってしまいましたが、「世界の日本人妻は見た」という番組で、イギリス人にクイズを出題して、その答えが正解と異なっていたら「私の意見は間違っていないと思う」と、自分の意見を大事にしているという特徴を感じることができました。

このEU離脱の背景を見ても、イギリス人という誇り、プライドを感じることができます。

 

そんなイギリス人の貯蓄事情は、次の通りです。

ヨーロッパの人々がそうであるようにイギリス人もリタイア後の貯蓄による資金形成にさほど関心を示しません。貯金はほとんどゼロといわれ、45歳以上で貯金額が9000ポンド(140万円)未満の割合は2014年度末でも全体の40%強と、日本人とは比較にならないほど限られたお金しか持っていません。これは老人ホームに入居する場合、生涯そこにいる前提で、住宅、貯蓄、年金などの資産を総括して、500万円以下なら全てその費用を国が負担することも関係しているようです。

貯蓄がなかったとしても、老人ホームに入れるというのは、日本と全く異なる点ではないかと思います。日本では、生活保護を申請して許可されれば受けることができますが、実態は不明です(息子と2人暮らしのシングルマザーが、生活が苦しいので朝も昼も働き、息子と関わる時間が減ってしまったことで、不良グループに巻き込まれ殺害されてしまった事件がありますが、生活保護の申請をしても許可が出なかったというケースもあります)。

 

 

イギリスの年金受給額は次の通りです。

二人が受給する年金は各々最高でも週2万円程度。イギリスの水、電気、ガス代はとても高く、年金だけではやっていけないため、二人して働き続けているのです。

人によって受給額が違うのか、一律の金額なのかは分かりません。日本と同様で、年金だけでは生きていくのは現実的には厳しいということは分かります。イギリス人も、年金をもらいながら、足りない分を働いているという状態のようです。

 

 

年金も少なく、貯蓄もさほどないという、イギリス人の資産運用はどうなっているのでしょうか。

若い頃から小さな投資を楽しみ、お金以外の値打ち品を持ち続け、人生の中で自分のために使う。残す、取っておくという考えに決別して、少しずつ手放していく。これも中流老後への生活防衛だと思いました。

この話は、日本で、老後に2000万円必要だと政府が言った時から、投資信託が急に距離が縮まり、NISAなどをやっているのが今どきと言っているような風潮が出てきていますが、イギリスでは、株という投資ではなく、どちらかというと、日用品であったり、自分の趣味の中で、値打ちのあるものを購入し(コインのコレクションや、シルバーなど)、それを老後に手放して生活の足しにするという考えのようです。

自分のことは自分で面倒を見るという精神が、ここでも伝わってきます。

 

 

日本では孤独死という問題がありますが、イギリスではどうなのでしょうか。

英国の高齢者支援団体Age UKによると、イギリスでは1ヶ月以上誰とも会わない、話をしない高齢者は100万人以上。友だちのいない孤独な高齢者は増加傾向にあり、他人との間に壁を作ることが原因の「飢餓」「寒さ」「病気」など、命を蝕む悪影響も懸念されています。孤独に閉じこもることで、福祉サービスなどよりもたらされる、生きるのに必要な情報も届きません。

2014年の冬には7分に1人の割合で、貧しくて石油を買うことができず、寒さのために高齢者が亡くなったそうです。生活保護を申請する道もあったのに、プライドがじゃまさせたのか、国の政策が悪いのかいろいろな原因が考えられますが、一人で生きていく高齢者にとって、心を許せる友だちは家族以上になくてはならない存在だと考えられました。

この問題は、かなり深刻ではないかと思います。老人ホームに行ったらいいのにと思いますが、老人ホームも待機状態なのかもしれません。また、プライドがあることから、行きたくない方もいるのではないかと想像します。

自立をするというプライドがあると、息子、娘に頼ることは許されない行為ではないかと思いますし、世話になりたくないという気持ちもあるのではないかとも思います。負担になるのも迷惑になるなど、お互いのためにという行動ではないかと察します。

人は1人では生きていけないので、夫婦で暮らしている場合にはまだいいのですが、シングルになった場合には、老人ホームではなくても、老人同士で声をかけられるような仕組みがあると、最期も孤独という感覚で迎えることが軽減されるかもしれません。日本もそうですが、助け合える場が必要ではないかと思いました(あるんでしょうか?)。

イタリアでは、青年も老人も集まれる場所が町の中にいくつか配置されており、チェスをしたり、ボーリングのようなものをしたり、途中でバールに言ってワインを飲んだり、エスプレッソを飲んだり、支え合っているのを見ました。そんな仕組みが必要なのかもしれません。

 

まとめとしましては、

イギリスは、プライドを持っていることを誇りに思っている国民性のため、福祉は整備されているが利用せずに孤独に迎える方もいるということのようです。

福祉が整備されているというのは、日本にとっては、政府に何でしてくれないの!!と訴えたくなります。経済を回すために、あえての戦略なのかもしれませんが(政治家の方も、年収300万円の生活をしてもらえれば、この気持ちが分かってくれるのではないかと思います。子どもが欲しくても不安しかないという気持ちを分かって欲しいです。)、2人に1人は癌になる日本人にとっては、地獄のような世界ではないかと思います。

 

<参考文献>

なぜイギリス人は貯金500万円で幸せにくらせるのか? イギリス式 中流老後のつくり方』(p.5、6、156、153、147)(著者:井形慶子)

 

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