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  1. 犯罪

嫌なことに対しての対処法を教える(考える)教育環境の必要性

『犯罪心理学研究 第56巻 特別号(2018)』p.10 府中刑務所:佐々木正輝、鍛治龍男、志村ゆかり、石村智子、小谷野まどか、法務省矯正局:岡秀明氏らによる「受刑者の心理特性Ⅲー年齢等を軸とした男子受刑者の分析ー」をご紹介します。

 

この論文の問題定義と目的としては、

本研究は、男子受刑者を対象に再犯と関連する要因を検討することを目的とした研究の一部である。受刑者の再犯を予測する要因として、介入によって変化しない要因(静的リスク)と変化する要因(動的リスク)がある。

我が国においては、前者について大規模調査でのデータを用いた解析が進められている(三浦、2016や鍛治、2017)一方、後者に係る包括的な調査は十分に進められない。

本研究では、全国の刑事施設において、刑事施設の職員による調査と受刑者の自己記入式調査を実施、男子受刑者の属性等(年齢、犯罪傾向の進度、能力検査値、学歴)から見た心理特性の違いを明らかにすることを目的とする。

再犯をしてしまう要因は何か、年齢、犯罪傾向の進度、能力検査値、学歴を比較して、心理特性の違いを見ていこうという内容になります。

 

調査方法としては、

調査対象者・時期

平成27年11月から同年12月までの間に、満期釈放又は仮解釈によって出所する男子受刑者のうち、処遇上実施が相当に困難な者等を除いた2239名を調査対象とした。調査時期は、平成30年6月1日から同年11月19日までである。

 

調査票

2部構成であり、いずれも海外のリスクアセスメントツールや、先行研究を参考とした。

 

方法

刑事施設の職員による調査票は受刑者ごとに作成される被収容者身分帳簿から作成した。受刑者による自記式調査票は、受刑者が自分で質問文を読み、居室もしくは集団場面で回答する方法で作成した。

対象とした2239名となるので、比較的規模が大きい調査であると思います。受刑者の方も、ご協力いただいて、感謝しかありません。

 

 

この調査の結果による考察をご紹介します。

年齢、犯罪傾向の進度、能力検査値や学歴によって、複数の心理特性に差異が認められた。

若年群と高年群を比較したところ、高年群は、情緒不安定で自己に対するポジティブな感覚が弱く、社会的スキルやコーピングスキルが乏しいことが分かった。

高年群の受刑者は、脆弱(ぜいじゃく:弱くてもろい様)な自己像を持っているといえる。

犯罪傾向が進んだ者(B群)の特徴として、上記高年群に見られた特徴に加えて、短期で情緒不安定であり、家庭や職場に否定的な感覚を持っていて、犯罪促進的な態度が強いことが分かった。こうした特徴を踏まえると、B群に対しては、犯罪に対する抵抗感を高めるだけでなく、感情や行動の統制力を身につけさせるような働き掛けが必要であると思われる。

能力検査値低群の特徴として、上記高年群に見られた特徴に加えて、問題から逃げようとする機制を働かせたり、法律違反を許容したりしやすいことが分かった。能力検査値の低群は、その場かぎりの社会不適応的な行動に及ぶ傾向がうかがわれる。

これらの群には、様々なスキルトレーニングを通じて、成功体験を積み重ね、物事に根気強く取り組む姿勢や自信を身に付けさせるような働き掛けが必要だといえる。

学歴が低い者については、回避の規制を働かせやすいといった能力検査値低群との共通点がいくつかあったものの、むしろ、短気・衝動的で犯罪促進的な態度が強いといった上記B群と同様の傾向がより強くうかがわれ、反社会的行動との関連が示唆された。

釈放時年齢、犯罪傾向の進度、能力検査値、学歴はいずれも静的な変数ではあるが、これらの変数による心理特性の違いを明らかにすることで、受刑者の特性に応じた処遇の手掛かりになると考えられる。今後も、過去の就労状況や受刑中の適応状況といったその他の変数と心理特性との関連を検討し、受刑者の再犯に係る動的リスクについて情報を集積していく。

 

犯罪傾向が進んだ者については、全てに対して否定的な感覚があることから、感情や行動の統制力を身につけさせるような働き掛けが必要であると思われるという内容から、受刑者でなくても、自身の周りの環境などに対して、否定的な感覚、態度をとっている方は大勢いると思います。受刑者と、そうではない方の違いはどこにあるのかと考えると、次の、能力検査値低群の特徴の中で、高年である場合、問題から逃げようとする機制、法律違反を許容、その場かぎちの社会不適応的な行動になるということが、大きな違いではないかと思いました。

嫌なことから、どのくらい立ち向かえるか、でも無理をすると、自殺の方向に進んでしまうことになります。この嫌なことに対しての立ち向かい方に対して、教育の中に取り入れれば、対処の仕方が分かり、犯罪行為には至らないのではないかと思いました。

社会不適応な行動を予防するために、スキルトレーニングが必要ということが述べられていますが、これを見守ることは、難しいかもしれません。親ができていることがいちばんいいですが、家庭以外での見守りは、どうするのかが重要ではないかと思いました。また、達成できているのかどうか、よりも、達成したい環境の提供や(さまざまな事についての出会いの提供)、やる気があることについて、どうやって達成して行こうかということに対して、本人が困っていたら、背中を押すというような見守りが重要ではないかと思いました。

何かをやり遂げるためには、学びが必要だということが分かれば、あとは勝手に学びを深めていくだけなので、それまでの手助けが、個人的には教育者の務めではないかと思います。

 

学歴が低い方についてのデータは、より強いという内容だったが、ADHDや、学習障害である可能性も視野に入れた方がいいのではないかと思いました。

 

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