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刑務所にずっと居たいヒトたち

『犯罪心理学研究 第56巻 特別号(2018)』p.70 黄景逸、戴伸峰氏らの「受刑者による刑務所処遇に対する態度が拘禁依存に及ぼす影響–台湾の刑務所における調査–」について、ご紹介します。

 

さっそく、この論文の目的は、

近年、受刑者の改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成といった刑務所の役割が強調されているが、ここ数年、出所・入所を繰り返す台湾の受刑者が多くなるようである。

台湾法務部(日本の法務省担当)が受刑者の再犯防止するため、受刑者に対する出所後の支援制度を実施する(就職媒介や外出就業など)。しかし、その効果対して、疑問の声が依然に多い。

Aday(1976)によると、受刑者は拘禁生活への適応によって、刑務所に収容されたまま、社会へ戻りたくないという「拘禁依存」(又は過乖+リッシンベン適応)現象が提唱され、社会から隔離されるという拘禁の本質は受刑者の更生意欲に影響を与えると指摘される。

しかし、台湾では、このような研究は見当たらないようである。

したがって、本稿では、受刑者による刑務所処遇に対する態度が、拘禁依存の程度にどれほど影響を及ぼすのか検討する。

率直な意見としては、台湾ではなく、日本の事情を知りたい!おそらく、何処かにあると思いますので探してみます。

 

調査方法は

台湾の北区、中区、南区、東区からそれぞれ抜き出し、台北刑務所、台中刑務所、高雄刑務所、宜蘭刑務所に収容された男性受刑者を調査対象をする(774名中の有効回答のあった579名の結果となる)。

刑務所処遇に対する態度について、刑務所の職員と受刑者の「人間関係」、「施設生活」、「改善指導」、「家族連絡」からなる4因子構成が示され、

拘禁依存尺度では、生理的な満足の「生理依存」、ずっと刑務所に生活したい「収容希望」、収容生活に何も考えずに済む「安逸傾向」、刑務所しか居場所がない「帰属感」の4因子構成となったそうです。

 

この論文の考察としては、

生理依存、安逸傾向と帰属感については、施設生活が促進的に作用していた。

また、家族連絡について、各拘禁依存の下位因子に抑制する結果が見られた。

生理依存と収容希望において、人間関係の主効果が有意であり、しかし高群と低群の比較結果は逆の結果が示された。

受刑者の再犯防止が出所後の支援のみならず、施設の生活と施設中の人間関係の影響も考えなければならない。また、改善指導および受刑者が家族連絡との状況は、拘禁依存を抑制する可能性が示唆された。今後の課題として、今回の調査対象に対する縦断調査をもって、本稿の研究結果をさらに検討したい。

おそらく日本だって、他の諸外国だって、同じような結果になるのではないかと思う反面、ちゃんと理解するためには、台湾の経済事情や、文化など背景が分からないと、ハッキリと「だからそうなんだ!」と納得いっていないのが、本心になります。

また、日本との結果と比較してみないと、違いという発見もないと思いました。

他の外国での結果もあれば、それらを比べてみたいと思います。

 

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