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少年院の“Give Me a Chance”プログラム

『犯罪心理学研究 第56巻 特別号(2018)』

p.26 滝口 晶穂氏の「動物を介在させた矯正教育の可能性 –少年イヌにあう–」について、ご紹介します。

まずは、ヒトとイヌについての説明としては、密接な関係は、約1万年から3万年前からと云われているらしいのです。

K.ローレンツが書いた『人イヌにあう』の中で、子どもとイヌとの関わりは「大きな教育的価値がある」と述べているのだそうです。滝口氏は、ヒトと、イヌの双方が、互いに相手との関わり方を学ぶことができる存在になれるということを述べています。

 

この内容によれば、近年、イヌを矯正教育に導入する少年院が増えているのだそうです。そんなことが行われているなんて知りませんでした。

この報告の目的としては、筆者は動物を介在させた矯正教育を行なっている2つの少年院へ調査を行い、イヌが少年におよぼす教育的効果を検討しています。

 

2つの少年院については、以下の通りです。

A 男子少年院におけるGMaC(Give Me a Chance)プログラム

「治療的指導」と「社会貢献活動」の2つの意義があり、参加者すべてに恩恵をもたらす活動である。参加者は少年院から選ばれた3名の少年と公益財団法人ヒューマン財団が選定した3か月間イヌに関する座学とイヌが一般家庭で過ごすために必要なトレーニングを週4日、外部講師の指導のもと行なっている。

B 女子少年院における更生支援パートナードッグプログラム(現在、調査進行中)

生活指導の中の「治療的指導」に当たる。パートナードッグであるハルとルナのトレーニングを3~4名の少年が行なっている。さらに、月2回民間団体のDORGの講師が来園し、指導を担当している。

 

この報告の内容の前に、個人的には、この「GMaC(Give Me a Chance)プログラム」の名前の付け方が気になってしまいました。

私にチャンスを頂戴というのは、更生の場でどうなんだろうと思ってしまいました。

チャンスは無限にあるのに、チャンスを与えていないみたいに聞こえてしまいます。どちらかというと、チャレンジさせて!ではないかと思います(場所が少年院だから)。

 

つづいて、本題の考察に入ります。

プログラムを通じて少年は成功する喜びや失敗した際の悔しさなど、さまざまな感情を体験していると考えられる。また、トレーニングを通してイヌと少年が学ぶ様子はイヌと少年が学友のようであった。ともに切磋琢磨し合える仲間として少年はイヌを理解していると考えられる。

また、イヌを介して少年が自らを省みることができていることや、少年がイヌと会うことによって非行の立ち直りに影響をあたえるきっかけになるのではと考えられる。

今後も調査を続けていき、動物を介在させた矯正教育の可能性を追求していく。

非行をしてしまうのは、信じられるヒトの存在がいることが、重要であることが確かなので、ヒトではなく、動物であっても信じられる気持ちが芽生えれば、ヒトに対しても、この気持ちをもつことができるのではと、個人的には思います。

 

気になったのは、結果の中に以下の内容がありました。

GMaCプログラムや更生支援パートナードッグプログラムにおいて少年たちは自ら仕事を見つけ、道具の準備や、他の少年らを手伝っている様子が見られた。法務教官から指示を受けるときもあるが「おやつ準備してもいいですか」「イヌに水を飲ませてもいいですか」と少年が自ら気付き行動していることが多かった。

少年自身の利益ではなくイヌのために行動している様子であった。

目的を自身でみつけて、自分で自発的に動くというのは、とても健康な行動であると思います。少年院だけではなく、全家庭で実行した方がいいのではないかと思ったくらいです。

ヒト同士では、気付けないことがありますが、そこに動物が関与することで、緩和されることもあります。純粋な存在だからなのかもしれません。

 

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