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LD、ADHD、アスペルガー障害が非行化しないためには

前回のつづきとなります。

2001年『犯罪心理学研究 第39巻 特別号 発表論文集』発達と非行の中で、詳しい内容として、p.160『公開シンポジウム「発達と非行」ーわれわれが経度発達障害者から学ぶものー』小栗正幸(山口少年鑑別所)の中に興味深い内容がありましたので、ご紹介します。

“ただし,誤解されては困ることは,LDやADHD,あるいはアスペルガー障害があるから非行化するのではないということである。”

以前の記事では、少年院の病院では、約40%(「非行する子どもの40%は、ADHDが少なからず存在している事実」より)が、ADHDであると記載しましたが、彼らが非行化してしまったのは、生きにくい社会で生きているというのが、原因であると思っています。LD、ADHD、アスペルガーであっても、彼らが生きやすい環境であれば、こんなことになる可能性は低いと思っています。

現時点では、その環境を用意するのは、親御さまでありますが、親御さまで抱えず、専門家の意見を聞きながら、実行していかなければならないと思います。

 

“非行化の過程には自己評価の低下や,否定的自己像の形成といった健常な非行少年(おかしな表現だが)に共通する問題が見られる。換言すれば非行化するファクターは,一般の非行少年と何ら変わらないが,経度発達障害を有する子どもは,環境適応への困難から,非行化のファクターを呼び込みやすい要素を健常児以上に持っていることは事実である。”

自己評価の低下、否定的自己像というのが、ADHD、LD、アスペルガーの子にも発生するというのは、知りませんでしたし、環境適応の困難ということで、ハンデを背負っていることから、そうではない子に比べて、非行化してしまう確率が高いということも、初耳でした。

やっぱり、どうにか社会全体で、彼らを救わなければならないという気持ちが高まってきます。

 

“「斎藤万比古,原田謙(1999):反抗挑戦性障害,精神科治療学14(2),153–159 」「 原田謙(1999):注意欠陥多動性障害と反抗挑戦性障害が合併した病態に関する研究,児童少年精神医学とその近接領域,40(4),358–368」ここに極めて興味深い研究がある。斎藤万比古先生や原田謙先生がまとめたれたもので,小学校低学年でADHDの目立っていた子どもが,高学年で反抗挑戦性障害を発し,中学生では行為障害(非行)を発するという論文である。これを斎藤先生らは,アレルギー疾患の病態変化(アレルギーマーチ)にならって,破壊的行動障害の行進(DBDマーチ)と名づけられた。たしかにADHDの子どもが,あたかも出世魚のごとく非行化した事例を筆者も見ている。このDBDマーチが生じるファクターの中には,親からの虐待が含まれている場合があり,これはわれわれの領域においても重要な研究テーマになると思う。LDやADHDの子どもは,往々虐待の被害者になることが知られているからである。”

一概にも、すべてのADHDの子どもが、この道を辿るワケではないと思いますが、適切な環境で生きていかなければ、この可能性は高いというのは、確実ではないかと思います。

この論文(著者は小論と述べています)の著者は、少年院でお勤めの方であるので、虐待の子を保護する役目もあると思われることと、被虐待児を救うためにも、さまざまな特徴、可能性がここからも分かります。

親御さまからしたら、言うことを聞かないことであったり、言ったことを理解しなかったり、やるころが鈍かったり、どうしたいのか分かりにくかったり、空気を読めなかったりと、イライラすることが多く、こういったことが積み重なって結果的に、虐待という魔が刺してしまうというような流れなのかもしれません。

お子様が悪いのではなく、症状が原因ということも頭に入れてもらうことで、かなり親御さまの荷も軽くなるのではないかと思っています。

 

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