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LD、ADHD、知的犯罪の決め方

前回のつづきとなります。

2001年『犯罪心理学研究 第39巻 特別号 発表論文集』発達と非行の中で、詳しい内容として、p.160『公開シンポジウム「発達と非行」ーわれわれが経度発達障害者から学ぶものー』小栗正幸(山口少年鑑別所)の中に興味深い内容がありましたので、ご紹介します。

 

“破壊的行動障害の行進(マーチ)

LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもたちと会っていて思うことは,高機能から低機能まで,知的な幅が広いということである。同じように重症から軽症までの幅も広い。ここで注意が必要なことは,例えば自閉症児の知能は高機能といえば普通,中機能は経度知的障害,低機能は重度知的障害の水準を意味するが,LDやADHDの場合は,知的には普通範囲であることが前提となる。仮に境界線以下の知能であれば,それはLDはADHDとはせず,知的犯罪の療育対象となる。”

まずは、こんな風にLDや、ADHDを決めていたことを知らなかったので、それを知れる機会になったことはありがたいことだと思います。

以前の記事で「障害の診断基準を一般公開して欲しい」を書きましたが、一般公開されているのかは不明ですが、ちゃんとした基準(判定ルール)があることは分かりました。

 

“筆者は,特にLDに関してかなり慎重に判定する立場なので,ウエクスラー知能検査のいずれかのIQで85以上を示さないときには,積極的にはLDという言葉を使わない。”

 

“これに対してアスペルガー障害は,超高機能自閉症と呼んでも差し支えないので,もちろん知的障害はあり得ない。また重症のLDやADHDはあまりわれわれの前には登場しない。これは,重症になると不良交遊すらむつかしくなることと関係するかもしれない。逆に,軽症のADHDは暴走族の中に稀(まれ)ならず含まれている。”

 

“比較的低度の重いLDやADHDが,単独で強制わいせつや下着盗を犯す場合はあるが,非行全体での数は少ない。”

 

“アスペルガー障害の子どもが「実験」と称して人を刺すことはあり得るが,これはレアケースと考えるべきである。われわれの対象となるのは,主として比較的軽症のLDとADHD(特に後者)であり,その周辺群(LDやADHDの兆候をもっているケース)も含めると非常に多くなると思う。”

 

ひとつひとつ見ていくと、程度によって、犯行の内容がおおまかに決まっていることも、知りませんでした。実際にこの「ウエクスラー知能検査」というのは、どのような問題なのかも気になってきました。

完全にADHDと診断される場合には、ケアすることができるが、軽度の場合には、見分けも難しいため、ケアすることが遅れてしまうというのが、現在の状況であると考えられます。

結果として、罪を犯してしまった後に、ケアをするべきであったということが発覚するのが今ではないかと思います。

 

“筆者は,非行少年にどの低度LDやADHDが含まれるのかを示したいと考えているが,現在はまだ数量研究の段階に達していない。経験的には,少年鑑別所で少なくとも10人に1人程度は非常に疑わしい少年がいると思っており,この機会にぜひ共同研究者を募りたい。”

経験者の方が、10人に1人の程度で疑わしい少年がいるということは、その可能性があるということだけでも、ケアをすることで、その少年の将来を救うことができるのであれば、何か手立てができるタイミングとしては、今、ここ!ではないかと思うのです。

そんなことは恐らく分かっていることだとも、思います。どんなことでも、問題に対して、現在のところこれがいいのではないか?というのは、誰でも考えれば出てくると思います。ですが、その考えが正しいのかどうかは、それをやったことで、他にリスクがないことなどを調査しなければなりません。また、その環境を用意するのも、規模が大きければ大きいほど、たくさんの人の手が必要になります。

だからこそ、こういった研究者に対して、もっと尊敬し、もっとアウトプットしてもらい、支援を募ったりして、日本人に合う社会の在り方(当記事を書いている私は、犯罪の研究の多くはアメリカ、イギリスと認識しており、その内容は、日本では全てに対して当てはまるわけではないという考えからです)を社会で認識していかなければならないと思います。

是非、共同研究者を募り、研究をしてもらえたら、嬉しいです。陰ながら応援、見守っております(この内容自体が、2001年のことなので、その後も追えたら追いたいと思います)。

 

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