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  1. 教育

経験者の声が何よりも参考になる

前回の「非行と行為障害~医療少年院の現場から~」奥村雄介(関東医療少年院)と同じ内容の続きになります。医療少年院での、教育プログラムについて、詳しい内容が載っていたので、ご紹介します。

行動症状と精神症状を整理している場面がありました、個人的にかなり興味深かったので、ご紹介します。

治療の経過中、面接場面において、それぞれの行動症状に関連して、患者自身が語った言葉ということです。

“①衝動的暴力:「他人が恐い。何をされるかわからない。」「周りの人はみんな敵にみえる。やられる前にやってやる。」「不安になると頭の中が真っ白になる。パニックになって暴力をふるってしまう。」「暴れた後、自分が何をやったのかよく憶えていないことがある」

②物質乱用(※1):「自分は簡単なことも人並みにできない。」「恥ずかしい。人前で話ができない。」「他人がいると緊張する。ぎこちなくなってしまう。」「本音が言えない。しらふじゃ何もやっていけない。」

③自傷、自殺未遂:「不安で苦しい。死んだ方がましだ。」「時々、憂うつになって死にたくなる。」「自分が嫌になって自分を傷つけたくなる。」「生きている実感がしない。手首を切って血を見ると、はっとわれに返って安心する。」

④性的逸脱行為:「寂しかった。男なら誰でもよかった。」「どうせ誰も自分を受け入れてくれない。」「自分が情けなく、自分をボロボロにしたかった。」「酒を飲んでも男に抱かれても、その時だけで、寂しさを紛らわすことはできなかった。」158p.”

①衝動的暴力では「他人が恐い」という表現があります。この内容から、他人を信用することができていない、自身とは違い人と信頼関係を築いたことがないからであると推測できます。

全ての人を信じろということではないが、信頼できる人がいるというだけで、ひとりではないという気持ちになり、恐怖感がなくなります。

「やられる前にやってやる」という表現については、ひとりでも、良好な人間関係を築けていれば、こんな風にはならないと思いますが、人間関係がうまくできなくても、生きていくという、強い生命力を感じます。だから、自殺をしていないのだと考えられます。

「不安になると頭が真っ白になる。パニックになって暴力をふるってしまう」という表現は、不安を感じてしまうのは、ひとりでいることであったり、頼れる人、信頼できる人がいないということ、生活が不安定だったのかもしれませんが、お腹が空いたような言葉は何もないことから、その部分は大丈夫だったのか、それも満たされていないが、人との付き合いの方が、優先されていたのかもしれません。

「暴れた後、自分が何をやっていたのか憶えていないことがある」では、不安を解消するために、暴れるという表現になり、そんなことをやるつもりではない行動も、とってしまっているかもしれません。ドラックを使用している方だったのですが、このドラックを使うのも、不安を解消するためではないかとも推測されます。暴力をふるうということは、人が対象になるので、こんなにうまく行かない人生についての不満であったり、仲良くしている人たちを見て、妬ましくなり、どうしたらいいのか分からず、暴力をふるうこともあるのではないかとも思います。

②物質乱用では、人前で話せない、簡単なことができない、しらふではやっていけないなどの内容があり、人と出会って、話すという機会はあるが、うまく話すことができないという認識が

あり、苦手意識を克服することができないまま、ここまで、きてしまったということではないかとも思います。人と接したいが、人に接するのが苦手という不満の状態なのかもしれないと思いました。

もし、人との接点を持ちたくなければ、こんな表現にはならなかったのではないかと思います。

③自傷、自殺未遂では、いつまでも続く不安に対して、いつまで耐えればいいのかという不安にも苦しめられているのではと思いました。死んでしまえば、この苦しみも味合わずに済むという発想になってしまうのも、家族の絆が十分ではないからではないかと、個人的には思います。自分が死んでしまうことで、悲しむ人がいるという、人間関係ができていないということではないかと思います。でも、あきらめたくないという気持ちから、自分が嫌で、変わりたいという気持ちも見えると思いました。それを、自分を傷つけることでしか解消されないということだったのだと思います。これも、誰かに気付いて欲しいという表現なのではないかと感じられました。辛かったねと、あたたかい声をかけて欲しいと感じます。

④性的逸脱行為では、この寂しさを解消してくれるのは、性欲も満たしてくれる男と考えるのは、自然の流れではないかと思いますが、うまく行動できない自分だから、誰も自分を受け入れてくれないという気持ちが、ずっと拭えずに存在し、行くところまで行ってしまおうと、マイナスな方向にはたらいてしまっていたということが考えられます。

これらの生の表現を見ると、まずは、自分がどういう状態であるのかを言葉にすることの大切さを痛感したこともあるのですが、苦しんでいる人たちは、どうしたらいいのか分からないと、マイナスな方に行ってしまった場合、男女関係なく、同じように落ち込んでしまうのではないかと思いました。

ここまで自分を傷つけることをさせないためには、早期発見が大事になってくると思います。なんとか、保育園、幼稚園、小学校の時にケアができることで、こんな状態にさせないことができるのではないかと思っています。

 

(※1)物質乱用:繰り返して、著しく有害な結果が生じているが、耐性、離脱、強迫的な使用といった薬物依存症の定義に満たないという、薬物の使用状態における精神障害である。(Wikipediaより)

 

<参考文献>

日本犯罪心理学研究会第39回大会 「非行と行為障害~医療少年院の現場から~」奥村雄介(関東医療少年院)

 

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