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  1. 教育

今日はどうだった?を毎日家族で話すことの重要性

前回の「非行と行為障害~医療少年院の現場から~」奥村雄介(関東医療少年院)と同じ内容の続きになります。医療少年院での、教育プログラムについて、詳しい内容が載っていたので、ご紹介します。

実際の事例をもとにまとめられた内容ですが、実際に治療経過を時系列に沿って整理をすると、精神内界の変化について、各段階を追って確認することができます。

※複数人の内容ではなく、ある1人の女性の治療についての事例になります。1人1人で、経過も、内容も変わってくるものだと思うので、参考までとなります。

 

精神内界の変化

第Ⅰ段階(不満、反抗、怒り):「シンナーくらいで何で私がこんな所に入らなければならないのか!」「納得できない。」「お母さんが入院すればよかった。」

第Ⅱ段階(抑うつ感、絶望感):「1年間も耐えられない。死んだ方がましだ。」「何もやる気がしない。」

第Ⅲ段階(不安、当惑(※1)):「これからどうしていいかわからない。」「ここでやっていけるかどうか不安だ。」

第Ⅳ段階(希望、不安、焦燥感(※2)):「一人でいるのが寂しい。不安だ。」「みんなと同じようにやっていきたい。」「他の生徒が気になる。時々、むかつく。」「暴れちゃいそうな自分とそれを抑えようとする自分が戦っている。」

第Ⅴ段階(信頼感の回復、規範意識の芽生え):「人生まんざら捨てたもんじゃない。いい大人もいるもんだ。」「私にもできそう。」「規則違反をしてしまうんじゃないかと心配。」「一つずつ憶えてここでやっていくしかない。」

第Ⅵ段階(退行、外傷体験の想起(※3)):「(治療者に向かって)パパ早く来て。」「食べると吐いてしまう。お粥にしてほしい。」「う◯ちがでない。」「私はお母さんには虐待されたけど、周囲の人には恵まれていた。」「私は小さい頃からお母さんに必要なことを教えられていない。」

第Ⅶ段階(自我の再構築、社会化):「ここが少年院だという気がしない。」「私はここできちんとやってここから出ます。」「下級生からどう見られているか気になる。上級生としてプレッシャーを感じる。」「先生の立場もわかる。」「お母さんと私は似ている。」「私は変わった。お母さんにも変わってほしい。」

p.159”

ⅣとⅤの差が、ものすごい変化ではないかと思います。

受け入れてくれる人が誰もいない。居場所がない。ということが、この不満、怒り、どうして私だけうまく行かないんだろうという反抗ではないかと思います。

この根気強く接していることが、この方の内界の変化で、見てとれます。担当されている方々には、頭が下がります。

この内容は、家庭のなかでもできることだと思います。まずは、話をする、なんでもいいから話をするだけでも、思っていることが言葉に表現されるということで、自分でも認識することができ、その内容を共有、共感することができます。

どんなに忙しくても、早期発見をするために、「どうだった?」「どう?」と声をかけて、話をすることは、たいへん重要なことであると、改めて確認することができました。

問題は、家族に言えないことはどうするのか?ですが、友だちであったり、カウンセリングの機会を1年に1回設けたりなど、工夫することはできると思います。監視するのではなく、見守るために、自立して生きてもらうために、周囲の協力は大切であると思います。

困ったときは、ひとりで抱えずに、親御さんが、相談窓口に行くことも重要であると思います。カウンセリングしてもらうのも重要であると思います。

困ったとき、不安になったとき、自分でどうするべきなのか、行動できるようにするのは、教育の役目ではないかと思いました。

 

(※1)当惑(とうわく):(スル)事にあたって、どうしたらいいか途方にくれること。(コトバンクより)

(※2)焦燥感(しょうそう):いらいらすること。あせること。(コトバンクより)

(※3)想起(そうき):過去に経験した事物,事象やそれに関する表象を思い起すこと。特に記憶心像を再現する過程,またはそれを報告することをいう。(コトバンクより)

 

<参考文献>

日本犯罪心理学研究会第39回大会 「非行と行為障害~医療少年院の現場から~」奥村雄介(関東医療少年院)

 

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