犯罪心理学・社会心理学・教育・文化・インテリア・ビジネス

  1. 犯罪

人格障害と行為障害

「非行と行為障害~医療少年院の現場から~」奥村雄介(関東医療少年院)のp.155に、行為障害についての説明が記されていたので ご紹介します。

“行為障害の概念を理解するにあたって、人格障害(Personality Disorder)の概念について簡単に整理しておくことが役に立つであろう。法に触れる行為に至った人格障害と行為障害を比較したものが表②である。

表②

人格障害→行為障害の順に記載します。

年齢:18歳以上→18歳未満

人格の可(逆の行にんべんなし+月+土の漢字)性:なし→あり

類型化:可能→困難

収容目的:刑罰→保護・健全育成

矯正施設:刑務所・医療刑務所→少年院・医療少年院

司法判断:犯罪→非行

ドイツの精神科医シュナイダーは、異常人格の下位概念として、「その人格の異常性のために自ら悩ませる異常人格」を精神病質(Psychopath)として定義し、その中に精神症も含めている。この概念は、今日、世界的に広がりつつある操作的診断基準であるDSM-ⅣやICD-10において人格障害という用語に置き換えられている。人格障害の中で最も犯罪と関連が深いのはB郡に属する反社会性人格障害であるが、これは攻撃的かつ反社会的で偏った行動様式の反復と持続によって特徴づけられる人格異常である。しかし、これらはすでに人格が一応完成された成人についての議論であって、成長・発達の途上にあり、人格構造が固まっていない未成年についてはこれらの診断基準をあてはめることはできない。そこで、成人における反社会性人格障害と類似の状態に対して、18歳未満の未成年については人格障害の診断をつけず、実際の現象として観察できる一連の行動様式の記述だけから選別できるカテゴリーとして行為障害という診断名が採用された。

行為障害の定義にあたっては、精神病理学的な症状論や病因論にはまった触れられていない。この意味で「行為障害」は精神医学において未分化な概念であり、ゴミ箱診断(Wastebasket Diagnosis)と言わざるを得ない。”

前回の内容になりますが、“非行と行為障害が密接な対応関係である”とされている部分については、表で分かりやすく紹介してくれているので、以下に記します。

 

“p.155

表① 行為障害の診断基準→非行の順に記載します。

A 他人や動物への攻撃的行為→暴行、傷害、殺人、強姦など

B 他人の財産に損失や損害を与える行為→器物損壊、放火など

C 嘘をつくことや盗み→詐欺、横領、窃盗など

D 重大な規則違反→怠学(※1)、家出、不良交友など、虜犯事由(※読みと意味)となるもの

要するに、従来に存在している人格障害に似ているのだが、そのカテゴリに当てはめることができないため、行為障害という言葉(カテゴリ)を設けたということのようです。

人格異常という言葉を見ると、素人の考えでは、多重人格だとか、二重人格だとかのイメージが先に浮かんできてしまいます。

“反社会性人格障害であるが、これは攻撃的かつ反社会的で偏った行動様式の反復と持続によって特徴づけられる人格異常である。”

という文言については、私が予想していた、反社会性人格障害(社会性人格障害)とは異なっておりました。

社会性人格障害とは、社会に出たときの社会用の人格が形成されないという障害かと思っておりました。例えば、家で過ごしているのと同じような感覚で過ごしてしまうというものです。

反社会性人格障害とは、社会に対しての攻撃的、文字通りの反社会的な行動ばかりを起こしてしまう人格。これは、似ているかもしれません。

やはり、論文をみると、基本知識がないと調べなければならないことが多くなりますよね。

この人格障害について、もっと詳しく調べる必要があるようです。この回で紹介できなくて残念です。

 

(※1)怠学(たいがく):学問をなまけること。学校へ行くのをなまけること。(コトバンクより)

 

<参考文献>

日本犯罪心理学研究会第39回大会 「非行と行為障害~医療少年院の現場から~」奥村雄介(関東医療少年院)

 

<関連記事>

犯罪、非行を抑制するのはやっぱり教育である

非行に結びつかない援助は結果的に日本社会の秩序、経済の発展につながる

フィンランドのネウボラについて①

犯罪の最近記事

  1. すべての人に学びの機会を

  2. 子ども部屋があることで、引きこもりになる?

  3. 子ども部屋って必要?

  4. 親子の権力争いが非行を促進させる

  5. 認識のすれ違いを少なくすることで、子どもの将来が安泰になる

関連記事

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP