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非行少年にさせないために、私たちができることとは

『2001 犯罪心理学研究第39巻特別号ー近藤,土田 非行少年の自己認知と自己評価についての研究』では、大阪少年鑑別所の職員がおこなった論文なのか、そこまで詳しく調べていないのですが、このお2人の名前のしたに、鑑別所の名前が記載されていたので、そうではないかと推測をしています。

この論文では、鑑別所に送致された少年たちは、自己認知をどのくらいしているのかという内容になっています。とても興味深かったので、ご紹介します。

目的としては、以下の通りに記されています。

“非行少年は否定的な自己概念を持ち,自己評価が低いとの研究結果が多く示されているが,実務の中では,むしろ自己肯定的で,自分に対する問題意識が乏しい者,置かれた現状を深刻に受け止めることができず,甘い見通しを持っている者を多く見かける。こうしたあり方には彼らの持つ自己認知や時間的展望が影響を及ぼしている可能性がある。本研究では非行少年の理想自己・現実自己のずれと時間的展望に焦点を当て,それが自己評価とどのようにかかわっているのか検討し,その特徴を明らかにすることを目的とする。”

方法は、少年鑑別所に収容されている少年128名(男103、女25、平均16.4歳)を対象にして、質問紙(アンケート)によって行われております。

その結果として、興味深かった箇所をご紹介します。

“自分に対して何らかの満たされないさを感じ,理想と現実のずれについても意識しやすいと思われるが,未来志向・努力の因子が世の影響を及ぼしていることが自尊感情得点の低下を防ぎ,自己評価の高さを維持していると考えられる。

(中略)

自己肯定的で,悩みや葛藤を感じることが少なく,楽観的な見通しをもっていることが自己評価の高さを支えていることがうかがえる。

(中略)

自分の現状への不満足感を強く抱いている一方で,それが現実的な努力や自分を高める動機付けには結び付いていかないようである。自らの力で未来を切り開き,目標を達成できるという効力感が乏しいことが背景にあり,将来に対する明るい展望を持てないことが低い自己評価をもたらしていると考えられる。

(中略)

自己評価が低く,自分の現状に満たされないものを感じつつも,過度に楽観的な見方をして,悩みや葛藤を回避し,現実に直面することを避けてしまう傾向がうかがえ,自分のあり方に対する問題意識や改善のための意欲も生じにくいものと推察される。”

この結果から、まとめとしては、“非行少年の自己評価は楽観的な時間的展望によって支えられている面が大きいことが示された。彼らによく見られる現状認識や見通しの甘さ,深刻味のなさにはこうした時間的展望に基づく自己認知のあり方がかかわっていると考えられる。”

この、楽観的という認知にも、さまざまな種類があるとされ、①健康な自信、有能感に基づいているもの ②幼稚な万能感に起因しているもの ③現実と向き合う力がないために、葛藤を回避しようとする防衛規制のもの があるとされている。それぞれで考えていかなければならないが、研究者の最後に、自分の現状に不満足感がある場合であっても,努力をすれば未来を良い方向に変えていくことができるという効力感を持っていれば、自己評価が低下しないということも示されていることが分かったとしているので、鑑別所の未来は明るいと、個人的には思ってしまいました。

個人的な考えとしては、非行少年たちは、少なくても現状のままではいけないと、わかっているのではないかと思ったことです。でもその状態から、どうしたら抜け出せるのか、そのために何をしなければならないのかというのが、明確になっていないことが非行への道にもなっているのではないかと思いました。そして、自分を表現する場として、学校での勉強だけとなってしまうと、そこで自分らしさが出せなければ、自分を見失い、また、学校の勉強、システムについていけないということは、もう終わりということ?と思う方もいると思います。

まずは、小学生ぐらいの段階で、いろんな道があるということを知ってもらうことが重要ではないかと思います。そのことを、本人が分かっていれば、精神的にも落ち着いていくと思いますし、本人の将来の可能性も明るくなり、その未来を実現するために、どうしたらいいのかと考えることができ、勉学にも自然に取り組むことができるのではないかと思います。つまりは、人生を楽しんでもらうことが、自動的にできるのではないかと思っています。それは、幸せなことであると個人的には思っています。

学校の勉強についていけないことが、悪いことではないということを、知ってもらいたいと、個人的には思います。

非行少年の思考のように、どうにかしたいが、選択肢がないという世界で、でも仕方がないと、楽観的に生きていくことは、自分自身を守る術でもあると思っています。それが悪いことではないが、もっと彼らに、明るいアプローチができるのではないかと、本気で思います。

彼らが悪いのではなく、彼らに合う社会のシステム・環境が見つからないということだと思うので、前回の続きではありますが、少年院の病院に収容される40%がADHDなのであれば、それを先に認知することで、事前に防ぐことができるということと、学校にうまく通うことができないというこ子に対しての選択肢としての相談窓口ができれば、もっと減らすことができるのではないかと思いました(現在では、通信制が人気であるというのも、聞いたことがあります。個人的には賛成です。無理に人と付き合わなくてもいいと思っています。気の合う仲間で、楽しい時間を過ごせれば、それがいちばんではないかと思います)。

こういった内容を見れば見るほど、個人の力ではどうすることもできないなと思ってしまいます。政府を説得するしかないという考えに至りますが、ひとまずは、声をあげることをさせていただいております。

微々たる力であっても、やらないよりかはマシであると思っております。いろんな道があるということも、このブログサイトで紹介することで、役に立てればとも思います。

 

<参考文献>

『2001 犯罪心理学研究第39巻特別号ー近藤,土田 非行少年の自己認知と自己評価についての研究』

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