窮屈なのは、部屋ではなく、家族の関係

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写真:見惚れたグラデーション

日本の家は養鶏小屋」のつづきですが、

古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』の著者がよく知るイギリス人は、1DKのフラットタイプに住んでおり(平米数は不明です)、母親は働き、父親は失業中の身で、時々近所にあるパブでお手伝いをしているという生活で、その家族には8歳になる小学生の女の子がいたのです。

母親は、仕事の始まりが早く、娘の学校を送り迎えするのは、父親の役目であったが、父親は、前日飲みすぎると、寝坊してしまうのだという。

そんな時には、学校には行かずに、リビングでテレビを見たり、本を読んで過ごしていると言うのです(1人で通学しないのは、危険のため、禁止されているからです)。

娘は、昼になると、キッチンに行って、冷蔵庫から牛乳を取り出し、テーブルにある薄い食パンと2枚、皿に乗せて「ランチを食べよう」と、著者がお邪魔した時には、もてなしてくれたのだと言う。

バターも何も塗っていない、ふにゃふにゃのパンがお昼ご飯なのだ。

食事の最中も、父親を起こさないように注意しており「静かに!ダディが起きるとかわいそうだから、ドアはそっと閉めて」と気を使っている状態なのだと言う。

 

日本であれば、もしかしたらネグレクトのような状態ではないだろうか、と言われてしまいそうだ。だが、彼女は、しっかりと生きている。しれに対して、親は何も言っていない。

だから、虐待ではないと思っている。

また、母親は、昼まで寝ている父親に対して、無責任となじることもなく、父親も、食パンを丸かじりする娘を見て、ランチを用意して欲しいと言って母親を責めることはしないのです。

 

この母親に聞いてみると、

確かに学校は大切な場所だけれども、家の中でだって、勉強は教えられる。私(母親)や彼(父親)が娘をサポートすればいいんのだからと。だから、子どもが学校を休んで、家庭で過ごすことは悪いことではないと述べている。

 

要するに、学校に行くことが、すべてではないと言っており、

また、子どもも、1人で本を読んでおり、また、夕方になると、父親と一緒に公園に行っては、絵を描いたり、白鳥に食パンをあげたりしているそうです。

彼女の意思としては、どこにあるのか不明なのが、気になるのですが、ただ、楽しく、彼女なりに生きていると言うことである。

著者が言うには、その彼女を見て、日本人にはない心の穏やかさを感じられたそうです。

これは、実際に自分の目で見ていないので、なんとも言えないが、理由の一つには、人生を急がせることなく、ゆっくりと今を生きている。

 

彼女は15歳になった時に、看護師になりたいと思っているのだそうです。

日本であれば、受験勉強に意識を向けなければならず、ゆっくり自分自身と向き合うことがないと言う状態ではないだろうか。

日本では、あまりにも、既成の価値観であったり、情報によって「こうするべきである」と縛られてしまっており、大切な個人を尊重することが出来ていないのではないだろうかという見解をしている。

 

この家族の様子を見ていると、家の狭さは関係なく、自分自身の判断によって、個性的な教育を実践することで(この家族だけではなく、各家族の数だけ、存在するということになる)、そこで、子どもも親も、幸せを感じて生きていることになる。

狭い環境であっても、個人を大切にすることで、問題に対して、オリジナルの解決方法を見出して生きているということが言えるのではないだろうか。

 

そして、イギリスの素晴らしいところは、人生の選択をいろいろできることである。

大学に行けなくても、様々な専門学校が用意されているので、抱いている夢に対して、直結して進むこともできる環境がある。

この環境があることで、学校の成績なんか関係なく、やりたいことに集中して取り組むことができるので、日本のように受験に失敗しても、敗北感を感じることなく、プレッシャーもなく、のびのびと生きて行くことができる。

すべては自分の人生なので、自分で考えて自分で選択して行くと言う環境になっているのが、イギリスのようです。

 

イギリスでは、「いい人生」に到達する道は、1つではなく、無数にあり、その方法も、自分で選択することができる。また、人生はどこからでも頂点に登って行くことができるということ、親子で理解しているので、安心して、ゆっくりと、自分らしく暮らしているのです。窮屈なのは、部屋ではなく、家族の関係であるということがわかりました。

 

このイギリスの状況を知っても、我が子には、自分の思い通りに生きて欲しいと、それでも思いますでしょうか。

 

註:『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』井形 慶子 大和書房 2000-12

作成者: Tangoo

どうして人は罪を犯してしまうのか、その原因を知るために、本を読んだり、旅に出て、見たり聞いたり、人に合ったりしています。そこで、学んだこと、知ったことをブログにしています。

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